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“いつも同じルールで、同じ物差しを持って 世界と対時できるようになりたいけど、なれない。”▶︎▷▶︎【本紹介】いい子のあくび/高瀬隼子

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📚いい子のあくび/高瀬隼子


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【概要】
芥川賞受賞第一作。
公私共にわたしは「いい子」。
人よりもすこし先に気づくタイプ。
わざとやってるんじゃなくて、いいことも、にこにこしちゃうのも、しちゃうから、しちゃうだけ。
でも、歩きスマホをしてぶつかってくる人をよけてあげ続けるのは、なぜいつもわたしだけ?
 

「割りに合わなさ」を訴える女性を描いた物語ー。

郷里の友人が結婚することになったので式に出て欲しいという。祝福したい気持ちは本当だけど、わたしは結婚式が嫌いだ。バージンロードを父親の腕に手を添えて歩き、その先に待つ新郎に引き渡される新婦の姿を見て「物」みたいだと思ったから。「じんしんばいばい」と感じたから。
友人には欠席の真意を伝えられずにいて……結婚の形式、
幸せとは何かを問う一節のほか、社会に適応しつつも、
常に違和感を抱えて生きる人たちへ贈る全3話。
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🌱ことば
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いつも同じルールで、同じ物差しを持って
世界と対時できるようになりたいけど、なれない。
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前を向いてまっすぐ歩く人だけが、
避けていくべきなのだろうか。
見えている人が、分かっている人が、できる人が
そうしなきゃいけないんだろうかー。
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にぶさと優しさは少し似ている。
ばかが卑性になれないのと同じ感度で。
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自分の中には心が2つあるのだと思う。
裏と表、という単純なものではなくて。
悪く言う方が裏で、裏が本当というのは違うだろう、
という確信
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「こればっかりは、お互い様だね。いつかあなたも誰かにこうやってお願いするわけだし、今はがんばりどきだね。」

そうですよね、とは思ってないし、ありがとうございます、とも思っていないのに、するすると口からことばが出ていく

いつかわたしが子どもを産んで自分のぶんの仕事を誰かにお願いすることが、決定事項のように語られる。
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みんなはこんなふうに、自分のことを考えないんだろうか。
人に好かれたら、
どうして好かれたのかって考えないんだろうか。
何のために好かれたのか分からなくても
不安じゃないんだろうかー。
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くそぼけ、とまた汚いことばが頭に浮かぶ。
これはわたしのことばじゃない、っていうのは嘘だ。
ほんとはいつも頭の中のことばが汚い。
こんなところで、丁寧なことばだけで、どうやって生きていけというの。
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