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“誰かを理解できると考えるのは傲慢で、寄り添うことは時に乱暴となるー。”▷▶︎▷【本紹介】星を掬う/町田そのこ

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📚星を掬う/町田そのこ


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【概要】
千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」
そこには、自分を捨てた母・聖子がいた。

他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。
「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、多様な登場人物との関わりを通して思わぬ気づきと変化を迎える―。
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🌱言葉

家族だからって、固執しちゃダメよ。
一緒に家族を運営できないと思った時点で別れて正解。

自分の人生は、自分だけのものよ。
誰かのために無駄に消費しちゃいけないわ。
自分で、輝かせないと。
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傷口ってのは、痛いの痛いの飛んでいけって撫でるだけじゃダメなの。汚れた傷口をたわしでこすってゴミを出さないといけない時だってあんのよ。そんで、そっちの方が案外傷が治りやすかったりして
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成人してからの不幸まで親のせいにしちゃダメだと思うよ。
不幸を親のせいにしていいのはせいぜい未成年の間だけだ。もちろん、現在進行形で負の関係が続いているのなら話は別だけど。
「自分の人生を、誰かに責任取らせようとしちゃダメだよ」
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傷ついていたら誰に何を言ってもいいわけじゃない。自分の痛みにばかり声高で、周りの痛みなんて気にもしないなんて、恥ずかしいと思えよ。
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私の人生は最後まで私のものであり、私の意思によって始末をするのです。あななたたちの感傷で振り回していいものではないのです。
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「自分のせいだなんて、あの子の前で決して言わないで」
あの子はいま、自分で選択した人生の障害をあなたのせいにしてやり過ごそうとしている。
あの子の問題はあの子自身のもの。
あの子にきちんと背負わせないと、あの子のために。
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誰かを理解できると考えるのは傲慢で、
寄り添うことは時に乱暴となる。
大事なのは、相手と自分の両方を守ること。
相手を傷つける歩み寄りは迷惑でしかないし、
自分を傷つけないと近づけない相手からは、離れること。
棘を逆立てたハリネズミを抱いても傷つくだけだし、ハリネズミも刺したくないものを刺して苦しむものだから。
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ひとってのは水なのよ。
触れ合う人で、いろもかたちも変わるの。
黄にも、緑にも。熱いお湯にも、氷にも。
真っ白いかき氷に熱いいちごシロップなんて、あわないでしょう。
離れるなり、タイミングを測るなり、姿を変えるなり、よ。
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私の不幸は、あなたのせいだと責め立てていた。
しかし、私の不幸はどこからきていた?
母がいなくなったあと、わたしには父も祖母もいた。
そこには確かに、少しの不自由があった。
くっきりした寂しさもあった。
ひとと比べて自身の貧しさを恨むこともあった。
けれど、絶望するほどの孤独や苦しみは、なかった。
どうしようもない餓えや、途方もない恐怖もない。
わたしはきちんと、生かされてきた。
私の不幸もあの人のせいなんかじゃない。
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辛かった哀しかった寂しかった、痛みを理由にするのって、楽だよね。わたしもそう。
誰かの、あの人のせいにすると、
自分がとても憐れに思えて、
だから自分の弱い部分を簡単に許せた。
仕方ないじゃない、だってわたしは小さい頃に母親に捨てられたんだもの。って免罪符にもしてきた。
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自分の手でやることを美徳だと思うな。
寄り添あ合うのを当然だと思うな。
人にはそれぞれ人生がある。
母だろうが、親だろうが、子どもだろうが、侵しちゃいけないところがあるんだ。
あんたの人生のために、私の人生があるんじゃない。
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家族や親って言葉を鎖にしちゃダメだよ。
鎖でがんじがらめになって、泥沼でみんなで抱き合いながら沈むのが家族だっていうの?
私の人生は、最後まで私が支配するの。
誰にも縛らせたりしない。

 

 

▽▼▽町田そのこさん作品▽▼▽